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東京地方裁判所 平成2年(ワ)3029号 判決

原告

山岸康純

山岸朋子

山﨑進一

山﨑ヨシ子

右四名訴訟代理人弁護士

斎藤誠

右同

桑原育朗

右同

江上千惠子

右同

野沢裕昭

右同

鈴木剛

被告

株式会社朝日トレーラー

右代表者代表取締役

此田修康

右訴訟代理人弁護士

横山勝彦

右補助参加人

住友海上火災保険株式会社

右代表者代表取締役

小野田隆

右訴訟代理人弁護士

今井重男

右訴訟復代理人弁護士

藤岡毅

右訴訟代理人弁護士

松井勝

被告

大二産業有限会社

右代表者代表取締役

久保寺雄

右訴訟代理人弁護士

小林幹司

被告

東京都

右代表者知事

青島幸男

指定代理人

和久井孝太郎

外三名

被告

ケイヒンコンテナ急送株式会社

右代表者代表取締役

若井和雄

被告

国際コンテナ輸送株式会社

右代表者代表取締役

吉田邦彦

被告

山九株式会社

右代表者代表取締役

中村公一

被告

鈴江コンテナー・トランスポート株式会社

右代表者代表取締役

鈴江強

被告

株式会社住友倉庫

右代表者代表取締役

河村元雄

被告

株式会社日新

右代表者代表取締役

筒井俊治

被告

日本高速輸送株式会社

右代表者代表取締役

小溝理

被告

日本コンテナ輸送株式会社

右代表者代表取締役

佐藤守

被告

日本通運株式会社

右代表者代表取締役

長岡毅

被告

三井倉庫株式会社

右代表者代表取締役

原五郎

被告

ヤマト運輸株式会社

右代表者代表取締役

都築幹彦

被告

菱倉運輸株式会社

右代表者代表取締役

篠崎長文

右一二名訴訟代理人弁護士

山田重雄

右同

山田克巳

右同

山田勝重

右同

山田博重

主文

一  被告大二産業有限会社、被告株式会社新朝日トレーラー及び被告東京都は、連帯して、原告山岸康純及び原告山岸朋子に対し、それぞれ金八四〇万九三八二円、原告山﨑進一及び原告山崎ヨシ子に対し、それぞれ金六七四万四七三六円並びにこれらに対する昭和六二年六月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  原告らの被告大二産業有限会社、被告株式会社新朝日トレーラー及び被告東京都に対するその余の請求並びにその余の被告らに対する請求をいずれも棄却する。

三  訴訟費用のうち、原告らに生じた費用はこれを一〇分し、その七を原告らの負担とし、その余を被告大二産業有限会社、被告株式会社新朝日トレーラー及び被告東京都の負担とし、被告大二産業有限会社に生じた費用はこれを一〇分し、その七を原告らの負担とし、その余を被告有限会社大二産業の負担とし、被告株式会社新朝日トレーラーに生じた費用はこれを一〇分し、その七を原告らの負担とし、その余を被告株式会社新朝日トレーラーの負担とし、その余の被告らに生じた費用は、これを原告らの負担とし、補助参加人に生じた費用は、これを一〇分し、その七を原告らの負担とし、その余を補助参加人の負担とする。

四  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  原告らの請求

一  被告らは、連帯して、原告山岸康純及び原告山岸朋子に対し、それぞれ金二五三二万二六五三円及びこれに対する昭和六二年六月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、連帯して、原告山﨑進一及び原告山﨑ヨシ子に対し、それぞれ金二三二六万五一二八円及びこれに対する昭和六二年六月一二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用の被告らの負担及び仮執行宣言。

第二  事案の概要

本件は、夜間、大井コンテナ埠頭付近の道路上に、牽引車両(以下「ヘッド」という。)を切り離して駐車されていた、コンテナを積載する台車車両(以下「トレーラー」という。)の後部に、普通乗用自動車が激突し、同車の運転者及びその同乗者が死亡したことから、右運転者及び同乗者の両親が、駐車されていたトレーラーの所有者、右トレーラーの運転者を使用していた会社、右道路を管理していた東京都、大井コンテナターミナルを利用する運送会社らを相手に、右事故による人的損害の賠償を請求した事案である。

一  争いのない事実等(甲一の2、二)

1  本件事故の発生

事故の日時 昭和六二年六月一二日午後一一時四五分ころ

事故の場所 東京都品川区八潮三丁目〈番地略〉先道路(以下「本件道路」という。)の第四車線上

関連車両(一) 山岸美由紀(以下「亡美由紀」という。)が運転し、山﨑敏之(以下「亡敏之」という。)が同乗する普通乗用自動車(品川五二め××××。以下「山岸車」という。)

関連車両(二) 訴外後藤経信(以下「訴外後藤」という。)が駐車し、コンテナが積載されていたトレーラー(横浜一一こ××××。以下「本件トレーラー」という。)

事故の態様 駐車中の本件トレーラーの後部に山岸車が衝突し、亡敏之は即死し、亡美由紀は同月二三日死亡した。

2  被告らの関係等

被告ケイヒンコンテナ急送株式会社、同国際コンテナ輸送株式会社、同山九株式会社、同鈴江コンテナートランスポート株式会社、同株式会社住友倉庫、同株式会社日新、同日本高速輸送株式会社、同日本コンテナ輸送株式会社、同日本通運株式会社、同三井倉庫株式会社、同ヤマト運輸株式会社、同菱倉運輸株式会社(以下、右被告一二名を総称して、「被告一二社」という。)は、いずれも大井コンテナターミナルを利用する運送会社である。訴外後藤は、被告大二産業有限会社(以下「被告大二産業」という。)の従業員であり、被告株式会社新朝日トレーラー(以下「被告新朝日トレーラー」という。)は、本件トレーラーを所有していた。被告東京都は、本件道路の管理者である。

3  相続

原告山岸康純(以下「原告康純」という。)は亡美由紀の父であり、原告山岸朋子は(以下「原告朋子」という。)亡美由紀の母であり、同原告らは、亡美由紀の死亡により、法定相続分に従って、同人をそれぞれ二分の一の割合で相続した。

原告山﨑新一(以下「原告新一」という。)は亡敏之の父であり、原告山﨑ヨシ子(以下「原告ヨシ子」という。)は亡敏之の母であり、同原告らは、亡敏之の死亡により、法定相続分に従って、同人をそれぞれ二分の一の割合で相続した。

二  争点

本件の争点は、被告らの責任の有無、過失割合及び損害額であり、当事者双方の主張は以下のとおりである。

1  被告らの責任の有無

(一) 原告らの主張

(1) 被告大二産業の責任

訴外後藤は、本件道路が終日駐車禁止であること、及び、本件トレーラーを違法駐車すれば、重大事故が発生するかもしれないことを認識しながら、被告新朝日トレーラーの指示に従い、本件トレーラーを違法駐車した過失があるから、民法七〇九条に基づく責任を負うところ、被告大二産業は、訴外後藤の使用者であるから、民法七一五条に基づく責任を負う。

(2) 被告新朝日トレーラーの責任

被告新朝日トレーラーは、本件トレーラーの所有者であるところ、本件トレーラーの駐車は自賠法三条にいう「運行」に当たるから、自賠法三条に基づく責任を負う。

また、被告新朝日トレーラーは、訴外後藤に対し、本件道路に本件トレーラーを違法駐車することを直接指示しているところ、被告新朝日トレーラーは、夜間におけるトレーラーの駐車が、本件道路を走行する他の車両との衝突事故を惹起する危険性があることを、十分に予見することができたものというべきであるから、民法七〇九条、七一九条により、訴外後藤とともに、共同不法行為責任を負う。

(3) 被告一二社の責任

被告一二社は、大井陸運一二社会を結成し、同会は、東京港定期船主会、大井ターミナル連絡会とともに、大井コンテナターミナル地区交通問題連絡会(以下「交通問題連絡会」という。)を構成し、同会は、警視庁東京水上署(以下「水上署」という。)とともに、交通安全パトロールの実施や違法駐車を行う者に対して文書による指導を行う立場にあった。被告一二社は、大井埠頭の各バースに入構するトレーラーが入構するまでの駐車・待機場所として、本件道路を使用することとし、各バース毎に、待機する道路及び車線を取り決め、右取決めに基づいて、待機及び駐車位置の指示を運転手に対して通知していたところ、夜間においても、トレーラーが右指示に従って本件道路上に違法駐車をするという事態が生じていた。夜間、本件道路は薄暗く、しかも、コンテナを積載した、ヘッドのないトレーラー、あるいはコンテナを積載していない、ヘッドのないトレーラーが駐車されており、トレーラーは駐車灯を点灯していないので、夜間、本件道路を走行する車両の運転者から、これらのトレーラーを発見することは、極めて困難であり、また、中央分離帯から二車線目に車が駐車されており、本件道路は交通安全上危険性の極めて高い状態であり、被告一二社も右危険を認識していた。このように、被告一二社は、自らがなした、駐車・待機列の取決めという先行行為により、トレーラーの違法な駐車列を作出し、右駐車列が交通上危険な状態を生じさせていたことを認識しながら、かつ、水上署からの指導を受けて、自主的に危険な状態を解消すべき地位にありながら、トレーラーの違法駐車列を解消する何らの措置も取らなかったのであるから、民法七〇九条、七一九条により、不作為による共同不法行為責任を負う。

(4) 被告東京都の責任

① 本件事故当時、本件道路には、第四車線、第五車線とも極めて多数のトレーラーが違法駐車されていたこと、五車線に区分された道路の中央寄りの車線上に違法駐車されている車両が存在することは通常予見しがたいこと、本件事故現場は進行方向に向かって左にカーブしており、第四車線に駐車してある車両の発見は困難な状態であったこと、右のようなトレーラーの夜間の違法駐車は、数年にわたって毎夜継続してされていたこと、本件道路は、本件事故当時は、未だ東京都知事の路線認定を受けていない段階であり、道路法上の道路には至っていなかったが、昭和五五年三月以降は道路交通法の適用される一般共用道路として使用されていたこと等の事情からすると、本件道路はその安全性を著しく欠如していたといえる。したがって、本件道路には、その設置又は管理に瑕疵があったといえるから、本件道路を管理していた東京都は、国家賠償法二条に基づく責任を負う。

② 本件道路は、終日駐車禁止の規制がされている道路であるから、被告東京都は、本件道路に駐車される車両、トレーラーを違法駐車車両として撤去し、またその運転者を検挙する等により、本件道路における危険を防止し、交通の安全を図るべき義務を負っていた。特に、本件道路では、通常の交通常識を越えた形で、トレーラーが不規則に駐車されており、本件道路を走行する車両がこれらの違法駐車車両に追突する危険性が極めて高く、しかも本件事故の約三ヶ月前に同様な事故が発生していたことからすれば、右義務の遂行は強く求められていた。にもかかわらず、水上署長及び同署所属の警察官は、本件道路における違法駐車車両の取締りをしなかったのであるから、右義務に違反する過失がある。したがって、被告東京都は、国家賠償法一条に基づく責任を負う。

(二) 被告らの主張

(1) 被告大二産業の責任

本件事故は、訴外後藤の業務終了後に発生したものであるから、被告大二産業は、本件事故について責任を負わない。

また、本件事故は、亡美由紀が前方注視義務を尽くさなかったために、本件トレーラーの発見が遅れ、何らの措置も取らずに高速度のまま衝突したことによって生じたものであり、亡美由紀の一方的な過失によって引き起こされたものであるから、被告大二産業は亡美由紀に対する関係で責任を負わない。亡敏之に対する関係でも、本件事故は、亡敏之が亡美由紀の婚約者として山岸車に同乗していながら、亡美由紀に制限速度を遵守させず、また、運行の支障となる物体を発見して事故を回避させなかったために発生したのであるから、被告大二産業は責任を負わない。

(2) 被告新朝日トレーラーの責任

① 自賠法三条にいう「運行」とは、同法二条二項により、「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」をいい、ハンドル、ブレーキ、エンジン等の装置を作動させて地上を移動させることをいうから、駐車によって停止している状態は運行とはいえない。したがって、被告新朝日トレーラーは、自賠法三条に基づく責任を負わない。

② 被告新朝日トレーラーは、訴外後藤に対し、本件トレーラーの駐車を指示したことはなく、本件トレーラーの駐車は訴外後藤が自ら判断して行ったことであるから、被告新朝日トレーラーが訴外後藤と共同して不法行為責任を負うことはない。

むしろ、本件事故は、亡美由紀及び亡敏之の重大な過失により発生したものであるから、訴外後藤の本件トレーラーの駐車と、本件事故の発生との間には相当因果関係がなく、訴外後藤は不法行為責任を負わない。したがって、また、被告新朝日トレーラーは、訴外後藤の本件トレーラーの駐車行為と共同して不法行為責任を負うことはない。

(3) 被告一二社の責任

被告一二社が構成する大井陸運一二社会は、大井埠頭コンテナバースを利用する船会社等と、コンテナの輸送を契約している陸運会社の東京管轄支店の現場の操配関係の実務担当者の親睦のための集まりであって、本件トレーラーを移動する権限も義務もなかったこと、被告一二社は、本件事故現場付近に十分な駐車スペースを持っていたから、バースに入構する順番取りのため、夜間、路上に駐車する必要はなく、むしろ、トレーラー車の駐車・待機列は、被告一二社以外の数百社にのぼる運送会社、とりわけ県外の運送会社の車両により、いわば自然発生的にできたものであり、被告一二社は、右駐車・待機列を支配する地位にはないこと等からすれば、被告一二社が、原告主張の作為義務を負う理由はない。

(4) 被告東京都の責任

① 国家賠償法二条の責任について

本件道路上に駐車されていた本件トレーラーは、一時的にヘッドを切り離されて駐車されていたものであるが、一定時間経過後には、運転者が再びヘッドを接続し、その場所から移動させる意思を有しており、継続的に放置されていたものではないから、路上の放置された障害物のように、道路を管理する者において、これを移動除去すべき義務が生じるものではない。また、本件道路は片側四車線のうち、二車線は、何らの障害もなく通行できる状態であり、一方、本件トレーラーは、大型のもので、相当遠方から視認することができたのであるから、本件道路は、安全に通行できる部分があり、かつ、安全に通行できる部分を識別することは、通常の速度で走行するかぎりは極めて容易であった。以上からすれば、本件道路には、通常備えるべき安全性を欠く点は、何ら存在しなかったというべきである。

② 国家賠償法一条の責任について

右①のとおり、本件道路には安全性に欠ける点はなかったから、道路を管理する被告東京都には、国家賠償法一条適用の前提となる作為義務は生じない。また、一般に、道路上の駐車車両への衝突を回避することは、道路を走行する者が運転上の注意を払うことによりなされるべきものであり、本件事故においても、亡美由紀が通常の注意を払えば容易に回避できたのであるから、被告東京都には、国家賠償法一条の適用の前提となる作為義務が存在しない。

2  過失相殺

(一) 被告らの主張

(1) 被告大二産業の主張

仮に、被告大二産業にも責任があるとしても、本件事故現場は、特に見通しが悪い道路ではなく、ところどころには照明もあり、物体の存在は二〇〇メートル手前から確認し得たこと、亡美由紀は、道路事情を知悉していたこと、本件道路には、本件トレーラーだけでなく、他にもトレーラーが駐車されていたが、それらを発見することは困難ではなく、前方を注視しているかぎり、事故が発生する可能性はなかったこと、これらのトレーラーにより、道路通行が阻害されることはなく、運転者は、ハンドル操作によりトレーラーとの衝突を回避できたことからして、亡美由紀には八割以上の過失がある。

また、亡敏之については、本件山岸車の運行は、亡敏之を駅まで送るという、亡敏之のためのものであったこと、本件道路の進行及び高速度による運転は、亡敏之の指示によるものであること、亡敏之は、亡美由紀に運転させていたのであるから、同人が前方注視義務を尽くし、安全な速度を遵守するように注意すべき義務があったこと、本件事故現場には、事故を回避した痕跡がないことからすると、亡敏之も前方を注視しなかったと推測されること、亡敏之は、本件事故による損害を亡美由紀に請求する意思がないこと等の事情から、亡敏之の過失割合は、亡美由紀のそれと同一とするのが公平の観点から相当である。

(2) 被告新朝日トレーラーの主張

本件道路は、片側五車線もあり、事故発生当夜、駐車車両の列は第四及び第五車線に作られていたが、左側の三車線には、路上に何らの障害もないばかりでなく、夜間の走行車数は僅少であったから、左側三車線における走行は、一二分の余裕がある、極めて安全な状態であった。したがって、訴外後藤としては、本件トレーラーを第四車線に駐車したからといって、これに他車が衝突することは予見できなかった。むしろ、本件事故発生当夜の天候は晴れで、視界をさえぎるものはなく、本件道路上は街灯に照らされ、その見通しは良かったのであるから、本件トレーラーの置かれた車線を後方から進行してくる車両の運転者は、高さが3.65メートル、車幅が2.44メートル、後尾に反射板が取り付けられている本件トレーラーをその手前で十分余裕をもって確認できたはずであり、制限速度である五〇キロメートル以内で走行し、かつ前方注視を怠らないかぎり、相当近接した距離でこれを発見したとしても直ちに左側の第三車線に進路を変更して、容易に衝突を避けることができたはずである。それにもかかわらず、本件事故が発生したのは、亡美由紀が運転免許取得後わずか八ヶ月の未熟練運転者であり、夜間の走行であることから特に慎重を期さなければならないのに、本件道路の近くに居住してその道路状況を知悉していながら、制限速度をはるかに越えた高速度で走行し、かつ前方を注視しなかった重大な過失によるものである。また、助手席に同乗していた亡敏之は、亡美由紀の婚約者であり、運転歴約五年にも及ぶ熟練者であるので、亡美由紀と一体となって運転に協力し、未熟練な美由紀を補佐し、その無謀な運転を制止して安全を確保すべき立場にあるにもかかわらず、重大な過失によりこれらの措置を取らなかったことが事故の発生を助長したのである。以上からすれば、仮に、被告新朝日トレーラーが責任を負うとしても、亡美由紀及び同敏之の過失割合は九割を越え、同被告の責任は一割にも満たないとするのが相当である。

(3) 被告一二社の主張

本件道路は、片側五車線と広く、夜間は街路灯の照明があり、前方の見通しの良好な道路であって、夜間の交通量は少ない。亡美由紀は、運転免許取得後間がなく、運転経験も浅いうえ、原告康純所有の運転の不慣れな山岸車を、制限速度をはるかに越えた高速で進行させ、前方を注視していれば、本件トレーラーを発見し、車線変更するとか、ブレーキをかけるとかして、本件事故を未然に回避しえたにもかかわらず、これらの措置を取らずに、ノーブレーキのまま本件トレーラーの後部に衝突させた。したがって、本件事故は、ひとえに亡美由紀の全面的過失によって生じたものであり、亡美由紀は一〇割の過失がある。

亡敏之は、亡美由紀の婚約者であって、山岸車の助手席に同乗しており、前方を注視していれば亡美由紀に注意するなどして容易に事故を回避することができたにもかかわらず、前方を注視することなく漫然と同乗していたのであるから、亡美由紀と同様に、一〇割の過失がある。

(4) 東京都の主張

本件事故は、亡美由紀の過失と訴外後藤の過失とが競合して発生したものである。すなわち、亡美由紀は、山岸車を運転して本件道路を走行するに当たり、右道路が幅員16.8メートルで五車線の広い道路であることから、安全な速度と方法によって前方を注視して走行すれば、中央分離帯より二車線目である第四車線に駐車中の本件トレーラーを容易に発見し、これに追突することなく走行することができたにもかかわらず、これを怠り、高速度で漫然と進行したため、急制動等危険回避の措置を取る間もなく、山岸車を本件トレーラーに衝突させ、これにより、山岸車に同乗していた亡敏之を死亡させ、また自らも死亡した。他方、訴外後藤は、本件事故現場が終日駐車禁止であったにもかかわらず、これに従うことなく本件トレーラーを道路左側端に沿わない第四車線に駐車させたままその場を離れたために、山岸車はこれに追突した。これらの事情に照らせば、本件事故は、亡美由紀と訴外後藤の過失が相まって発生したものであり、双方の過失割合は、亡美由紀のそれが九割を下回ることはないというべきである。

また、亡敏之については、亡美由紀の危険な運転が本件事故を惹起することを予見できた可能性が訴外後藤のそれよりも大きいこと、亡敏之は、山岸車の運行利益を享受していたこと、亡美由紀との人的関係、運転経験、運行状況、特に亡美由紀の運転に対する支配力の程度等からすれば、亡敏之は、事故防止につき亡美由紀と同等に近い責任を負うものとみるのが相当であり、少なくとも七割は下回ることはないというべきである。

(二) 原告らの主張

被告らの主張はいずれも争う。

3  損害額

(一) 原告らの主張

1  原告康純及び同朋子

① 治療費 五三万三四八〇円

② 葬儀費用 一六五万一四〇〇円

③ 逸失利益三一一八万一〇三一円

基礎収入を、昭和六二年度賃金センサス第一巻第一表、産業計、企業規模計、女子、学歴計、全年齢平均額とし、生活費控除率を三〇パーセントとし、ライプニッツ係数により中間利息を控除する。

④ 慰謝料 三〇〇〇万円

⑤ 小計 六三三六万五九一一円

⑥損害の填補(自賠責保険金)

一八〇一万〇六四二円

⑦ 弁護士費用 五二九万円

⑧ 合計 五〇六四万五二六九円

2  原告進一及び同ヨシ子

① 葬儀費用 三二八万九〇七〇円

② 逸失利益五四四三万五五八七円

基礎収入を、昭和六二年度賃金センサス第一巻第一表、産業計、企業規模計、男子、大学卒、全年齢平均額とし、生活費控除率を五〇パーセントとし、ライプニッツ係数により中間利息を控除する。

③ 慰謝料 三〇〇〇万円

④ 損害の填補

四四四八万四四〇〇円

自賠責保険金

二五〇〇万二九〇〇円

任意保険金

一九四八万一五〇〇円

⑤ 弁護士費用 三二九万円

⑥ 合計 四六五三万〇二五七円

(二) 被告らの主張

原告らの主張はいずれも争う。

第三  争点に対する判断

一  証拠(甲一の2ないし4、二ないし一六、一八、二一の1ないし七〇、三七ないし四〇、四八、四九、五一、五二、乙一一の1、丙一ないし一六の1、2、丁一ないし三、証人浅村孝治、同髙田秀利、同廣末孝、同後藤経信、同野津清、同宮方義文)及び前記争いのない事実によれば、以下の事実が認められ、証人野津清の証言中右認定に反する部分は措信することができず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

1  本件事故現場の状況

本件道路は、東京都市計画道路補助線街路第二八号線、すなわち、環状七号線から大井税関前を経由し、大井北部陸橋まで通じる幹線道路のうち、大井埠頭派出所の北西約五〇〇メートル、大井北部陸橋の東北約七〇〇メートルの地点で東西に走る、通称大井税関前通りである。本件道路は、昭和四八年、港湾施設たる臨港道路ではなく、都道とする目的で建設された。その管理者は、東京都港湾局開発部南部埋立地管理事務所である。本件道路は、道路法上の路線認定はされていないが、昭和五三年七月から都営バスが運行を開始し、昭和五五年三月からは、一般交通の用に供され、道路交通法が適用されることとなった。

本件道路は、その周辺を大井埠頭内のバースと呼ばれる貨物の船舶への積卸し施設や、運送会社の業務施設、JR貨物線等に囲まれていた。

大井税関前通りは、幅六メートルの中央分離帯で分離されており、車道の幅員は片側16.8メートル、白色ペイントの破線で片側五車線に区分されている。一車線の幅員は、約3.5メートルである。車道の両側には、高さ二〇センチメートルの縁石及び高さ八五センチメートルのガードパイプで仕切られた歩道がある。歩道の幅員は5.2メートルであり、車道側には、幅1.7メートル、高さ1.3メートルの植え込みがある。車道及び歩道は、アスファルトで舗装され、平坦である。本件事故現場付近では、本件道路は、南部陸橋方面から北部陸橋方面に向けて、左に緩くカーブしていた。本件道路は、最高速度を時速五〇キロメートル、終日駐車禁止とする規制がされていた。

本件事故当時、歩道上には街路灯が点灯していたが、中央分離帯上には街路灯はなく、本件道路は薄暗かった。本件道路の路面は乾燥していた。

2  本件トレーラーの駐車

訴外後藤は、昭和六二年六月一二日当時、被告大二産業の被用者であったが、そのころ同人は、同被告が被告新朝日トレーラーから請負った業務を遂行するため、毎朝いったん被告大二産業に出勤したうえ、同被告の所有するヘッドを運転して、被告新朝日トレーラーの事務所へ行き、被告新朝日トレーラーの所有するトレーラーを右ヘッドに接続して、同被告の指示に従ってトレーラーを運転していた。本件事故当日も、訴外後藤は、被告大二産業の所有するヘッドに被告新朝日トレーラーの所有する本件トレーラーを接続したものを運転して、同被告の配車係から前日の夕方に予め受け取った運送指示書に従い、群馬県所在の訴外三洋電機貿易株式会社の関東倉庫に向かった。関東倉庫に到着すると、同人は、右運送指示書の記載に従い、三洋電機の荷物が積み込まれたコンテナを本件トレーラーに積載して大井埠頭へ向かった。関東倉庫には、訴外後藤の運転する本件トレーラー以外にも、新朝日トレーラーの業務を遂行中のトレーラーが三、四台あったが、訴外後藤は、それらのトレーラーの運転手の一人を通じて、被告新朝日トレーラーから、その運搬するコンテナを「大井埠頭の七号バースへ台切ってくれ」、すなわち、大井埠頭の七号バースへ、ヘッドを切り離してトレーラーのみを駐車するようにとの指示を受けた(以下、トレーラーとヘッドを切り離すことを「台切る」又は「台切」という。)。訴外後藤は、同日午後九時から同日午後九時三〇分までの間に大井埠頭に到着し、七号バースの入口まで行ったところ、そこには、翌日の七号バースへの入構手続の順番を確保するため、ヘッドを切り離して駐車されたトレーラーが、四〇台から五〇台、一列になって並び、駐車列を形成していた。それらのトレーラーは、道路上に、二四メートルないし二五メートルに一台の割合で駐車されていた。訴外後藤は、これらのトレーラーの駐車列をたどり、本件事故現場の、大井税関前通りの南部陸橋方面から北部陸橋方面に向かう車線の第四車線に、右トレーラーの最後部の車両を見つけたため、右駐車列の最後尾に、ヘッドを切り離した本件トレーラーを、補助脚台座を降ろした状態で、駐車させた。本件トレーラーは白色、その上に積載されているコンテナは赤茶色であり、トレーラーの車長は12.69メートルであった。訴外後藤は、本件トレーラーを、駐車灯、尾灯を消し、非常点滅灯も点灯しない状態で、駐車させた。本件トレーラーの駐車灯の両側には、三角形の反射板が付いていた。訴外後藤は、本件トレーラーを駐車することが違法であることを知っていた。本件道路の第五車線には、第四車線よりもさらに長く、トレーラーの駐車列が出来ていた。訴外後藤は、本件トレーラーからヘッドを切り離す際、本件事故以前にも台切ったトレーラー後部に他の車両が追突した事故があったことを知っていたため、なるべく台切はしたくないと思った。同人は、一〇分程度その場にいて、自車の後方に駐車する車両がないかと後方を見たりしていたが、他にそのような車両が見あたらなかったため、ヘッドを運転して被告新朝日トレーラーの横浜営業所に向かった。同人は、同営業所で同被告からの翌日についての指示を確認してから、再びヘッドを運転して被告大二産業の事務所へ戻った。本件トレーラーは、翌朝、入構手続の締め切られる午前一〇時三〇分までには、被告新朝日トレーラーの東京本部の従業員によりヘッドを接続され、その積載しているコンテナが七号バース内に入構される予定になっていた。

3  本件事故の状況

亡美由紀は、昭和六一年一〇月一四日、普通乗用自動車の運転免許を取得し、以後、山岸車のほか、レンタカー、同人の父の経営する会社のライトバンなどを運転していた。亡美由紀は、昭和六二年六月一二日午後一一時三〇分ころ、自宅から亡敏之を品川駅まで送るため、同人を助手席に乗せて、山岸車を運転して自宅を出発した。亡美由紀と亡敏之は、婚約関係にあった。同日午後一一時四五分ころ、亡美由紀は、本件道路の第四車線を、南部陸橋方面から北部陸橋方面に向けて走行していたところ、本件事故現場において、第四車線に駐車してあった本件トレーラーの後部に、山岸車を追突させた。山岸車は、自車の運転席部分までが、本件トレーラーの下にやや左方に向けて潜り込むような状況で、停止した。山岸車は、本件事故により、その前部、すなわち、ボンネット、エンジンルーム、運転席および助手席部分が大破し、前照灯は破損して炭化し、ガラス及び計器類が破損して散乱し、運転席のハンドルは約半分の位置から切断され、また、エンジンルーム及びフロントバンパーは右側部分が内側に曲損した。本件トレーラーは、リヤバンパーが内側に曲損し、後部左側に取り付けられた赤色の反射鏡が破損し、右補助脚台座は一七センチメートル前方に押し出され、左補助脚台座は22.5センチメートル前方に押し出された。路面には、各補助脚台座による擦過痕が付着していた。本件事故現場に、山岸車のスリップ痕、ブレーキ痕はなかった。本件事故においては、第五車線に、第四車線よりもさらに後方まで駐車列が出来ており、第一車線にも、まばらに駐車列があった。

4  大井埠頭における駐車車両の状況

本件事故当時、大井埠頭のうち城南島を除く部分、すなわち大井埠頭その1地区には、コンテナ船の接岸するバースがあり、コンテナ船から貨物を受け取ろうとするトレーラーや、コンテナ船に貨物を積み込もうとするトレーラーが、各バースに入構するため、バースの入り口から本件道路を含めた付近の道路上に待機して駐車列を形成していた。これらのトレーラーは、夜間においても、翌日船が入港する場合には、当該バースへの入構手続の順番待ちのために駐車列を作っていた。夜間においては、待機しているトレーラーは、台切の状態で駐車されていることが多く、その駐車列は、ほぼ二車線を占めていることが多かった。

各バースに入構しようとするトレーラーの駐車列の作り方は、予め定められており、トレーラーの駐車列はその定めに従って出来ていた。駐車列が変更されるときは、変更後の駐車列を示す図面が、各バース内にある、コンテナの重量や書類をチェックするためのブース内に掲示された。本件事故の一年前及び三年前に、それぞれ駐車列が変更されたことがあり、その際は、バース内のブースに変更後の駐車列についての図面が掲示された。各バースごとにその構内の管理者は異なり、被告一二社以外の者が管理していた。

5  被告一二社の活動

本件事故当時、被告一二社の各東京管轄支店は、大井陸運一二社会を構成し、大井陸運一二社会は、各支店の担当者が持ち回り幹事をしてゴルフコンペの開催等、各社の親睦のための活動をしていた。また、被告一二社は、東京港定航船主会、大井ターミナル連絡会とともに、交通問題連絡会を構成していた。交通問題連絡会は、水上署の指導の下で、本件道路を含む大井埠頭におけるトレーラーの違法駐車問題に対処するため、昭和六〇年一一月二六日結成され、同署とともに合同パトロールを実施し、同署の指導の下で、本件道路を含む大井埠頭に違法駐車されているトレーラーをチェックしてその一覧表を作成し、これに違反ステッカーを貼付するほか、トレーラーの切り離し及び放置の抑制を求める内容のチラシを配付したり、同署の主催する駐車問題対策会議に出席するなどしていた。右合同パトロールの結果作成された一覧表に記載されている違法駐車トレーラーは、被告一二社以外の会社の所有するトレーラーばかりであった。被告一二社は、本件事故当時、大井埠頭内に、自社の所有するトレーラー等の駐車場(以下「シャーシープール」という。)を有していた。交通問題連絡会は、昭和六二年六月一一日付けで同年五月のパトロール実施についての報告書を作成したのを最後に、以後何らの活動も行っていない。

6  被告東京都による本件道路の管理状況

本件道路を管理していた東京開発局南部埋立地管理事務所は、本件道路が常に安全な状態であるようにするため、同事務所職員が昼間パトロールを行っていたほか、訴外警備会社にその監視を委託していた。訴外警備会社は、一日二四時間態勢で巡回したうえ、巡回の結果を記した日誌を作成し、同事務所に対しこれを提出していた。昭和六二年三月、みなとが丘公園付近の本件道路上で駐車トレーラーへの追突事故が発生したことを契機として、同事務所は、同月から警備会社に対し、午後七時から午後九時までの間の、大井埠頭その他の地域の不法駐車及び放置物件の数を調査させることとした。それによると、昭和六二年六月五日の、本件道路を含む大井埠頭その1地区における違法駐車数は六二三台、同月六日は三四〇台、同月七日は三四三台、同月八日は四四五台、同月九日は四四一台、同月一〇日は四五九台、同月一一日は五五三台、同月一二日は五九五台、同月一三日は三二三台、同月一四日は四九五台、同月一五日は三三六台、同月一六日は四三五台、同月一七日は五八八台、同月一八日は四七二台、同月一九日は三六五台、同月二〇日は二〇二台であった。そのうち、本件道路については、同月一五日は七台、同月一八日から同月二〇日まではゼロとなった。

また、同事務所は、同年三月の右事故を契機として、違法駐車解消策として、大井埠頭近辺に自社のシャーシープールがない会社のため、新たにシャーシープールを設けることとし、同年七月にこれを完成させた。同事務所は、駐車車両解消策としては、シャーシープールを設置する以外は、水上署の取締まりに期待するほかないと考えており、夜間の違法駐車を調査してもその旨を水上署に連絡することはなかった。また、違法駐車車両のナンバープレートから、その所属する運送会社を調べ、運送会社に注意をすることもなかった。本件事故当時、同事務所としても、台切駐車車両に対する一般車両の追突の危険性を危惧していたが、違法駐車車両の解消についてはなすべき手だてがないと考えていた。同月二二日には、本件事故が発生したことから、同事務所の職員が自ら夜間の違法駐車車両の調査をした。

7  水上署の対応

本件道路は、水上署の管轄区域であったところ、駐車禁止の規制がされていたにもかかわらず、前記6のとおり、右道路上には多くの違法駐車車両があった。そこで、水上署は、管理者対策として、昭和六〇年一一月二六日、自ら指導して被告一二社等からなる交通問題連絡会を結成させ、同署で主催する駐車問題対策会議に出席を求めて違法駐車解消策への協力を求めた。また、運転者対策として、交差点付近に駐車している者や、二重に駐車している者に対しては、指導、警告を行い、台切トレーラーの場合にはナンバーから運転者を割り出して指導、取締りを行うほか、台切トレーラーの状態で駐車している運輸業者を同署に招致して指導した。さらに、昭和六二年三月に起きた、夜間の台切トレーラーへの追突事故を契機として、大井埠頭近辺にトレーラー等を駐車する場所が必要であると判断して、駐車場対策として、東京都開発局南部埋立地管理事務所に対し、都有地を利用したシャーシープールの設置を求めた。さらに、右交通問題連絡会とともに合同パトロールを行った。レッカー移動のような強制的措置は、トレーラーの移動設備がなかったことと、トレーラーの違法駐車が交通の安全と円滑を妨害しているとまでは判断しなかったことから、行わなかった。また、本件事故当時は、軽車両の運転者に対しては反則金を課すことができなかったところ、ヘッドの切り離されたトレーラーは軽車両とされるため、違法駐車された台切トレーラーの運転者に対し、反則金を課すことはできなかった。しかし、道路交通法違反で送検したことはあった。本件事故後は、違法駐車された車両に対し、鍵をかけたこともあった。同署は、一年に一回、本件道路を含む、その管轄する全区域について、平日の日中の駐車車両の数を調査したが、夜間については調査しなかった。同年八月ころには、夜間の駐車車両はなくなった。

二  以上の事実に基づいて判断する。

1  被告らの責任の有無

(一) 被告大二産業の責任

前記一の事実によれば、訴外後藤は、本件事故当時、被告大二産業の被用者として、被告大二産業が被告新朝日トレーラーから請け負った業務を遂行するため、被告新朝日トレーラーの指示に基づいて、本件トレーラーを本件道路に駐車したのであるから、訴外後藤の右駐車行為は、被告大二産業の業務の執行としてなされたものと認められる。そして、本件道路は、終日駐車禁止の規制がされているのであるから、原則として駐車することは許されないうえ、駐車の方法はできる限り道路の左側端に沿い、他の交通の妨害とならないようにし、また、夜間の駐車であるから、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならないにもかかわらず(道路交通法四五条一項、四七条二項、五二条一項参照。)、訴外後藤はこれらの義務を怠り、本件道路が駐車禁止の規制がされていることを知りながら、また、他の車両が本件トレーラーに追突する危険性があることを認識しながら、夜間、駐車灯、尾灯、非常点滅灯など、何らの灯火をつけることなく、片側五車線の車道の、センターラインから二車線目である第四車線に出来ていた駐車列の後尾に本件トレーラーを駐車させ、交通の危険を増大させたのであるから、訴外後藤の駐車行為には右注意義務に反する過失があったというべきである。したがって、被告大二産業は、民法七一五条に基づき、本件事故によって生じた損害を賠償する責任を負う。

この点につき、被告大二産業は、本件事故は訴外後藤の業務終了後に発生したから、同被告は、本件事故について責任を負わない旨主張する。しかしながら、訴外後藤の本件トレーラーの駐車行為自体、同被告の業務の執行としてされたことは前記一のとおりであり、右業務としての駐車行為によって本件事故が発生した以上、同被告は使用者としての責任を免れないというべきである。

(二) 被告新朝日トレーラーの責任

前記一の事実によれば、被告新朝日トレーラーは、本件トレーラーを所有し、訴外後藤にこれを運転させて、自己の運行の用に供していたことが認められる。そして、自賠法三条にいう「運行」とは、人又は物を運送するとしないとにかかわらず、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいうところ(同法二条二項)、前記一の事実によれば、訴外後藤は、昭和六二年六月一二日午後九時から同日午後九時三〇分までの間に本件トレーラーを駐車したのであるが、右駐車の目的は翌日の入構手続の順番を確保するため、本来の駐車場に駐車することなく路上駐車したというものであって、本件トレーラーは翌日遅くとも午前一〇時三〇分までには被告新朝日トレーラーの従業員によって再びヘッドを接続されてバース内へと運行される予定だったのであり、右の事実からすれば、右駐車はなお本件トレーラーの運行中の一態様と解すべきである。また、訴外後藤に過失が認められることは前記(一)のとおりであることから、被告新朝日卜レーラーは、自賠法三条に基づいて、本件事故によって生じた人的損害を賠償すべき責任がある。

(三) 被告一二社の責任

前記一の事実によれば、バースに入構しようとするトレーラーの駐車列については、予めその並び方が定められていたのであるが、本件全証拠によっても被告一二社がこれを取り決めたことを認めるに足りる証拠はない。かえって、前記一の事実によれば、各バース内に設置されたブースの中に、駐車列を示す図面が掲示されていたというのであり、各バースを管理していたのは被告一二社ではなく、各バースごとの別途の会社であったのであるから、トレーラーの駐車列を定めていたのは、むしろ、各バースの管理会社であったことが窺われる。したがって、被告一二社がトレーラーの駐車列を取り決め、これを作出したものということはできない。よって、被告一二社には、駐車列の取決めという原告主張の先行行為を認めることができないから、その余の点について判断するまでもなく、被告一二社は本件事故による損害について責任を負わない。

(四) 被告東京都の責任

前記一の事実によれば、本件道路は道路法上の道路ではないものの、道路交通法の適用となる一般交通の用に供する場所であることからすれば、本件道路を管理する東京都開発局南部埋立地管理事務所は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように務める義務を負うと解されるところ(道路法四二条参照)、前記一のとおり、本件道路は、幅六メートルの中央分離帯で分離され、片側幅員16.8メートルの片側五車線の、終日駐車禁止の規制がされた道路であって、本件事故当時は、その第四車線及び第五車線上に、コンテナを積み込んだトレーラーが、何らの灯火をつけることなく、特段の警告措置を取ることなく、それぞれ四〇台以上もの駐車列を作って並んだまま、夜間、少なくとも二時間以上放置されていたのであり、本件道路が片側五車線の道路であって、なお三車線が走行可能であることを考慮しても、道路の中央寄りに二車線にわたってトレーラーが何らの灯火もなしに、数十台駐車されているという右駐車状況からするならば、本件事故当時、本件道路はその安全性を著しく欠如する状態であったといわざるをえない。そして、右のように、夜間、トレーラーが、駐車灯等を点灯しないままの状態で、本件道路の中央寄りの車線に数十台の駐車列を作って並んでいるという状態は、遅くとも、本件事故の約一年六ヶ月前である、昭和六〇年一一ころには既に発生し、その危険性が問題とされ、現に昭和六二年三月には、夜間駐車されていたトレーラーへの追突事故が発生してその危険が現実化していたにもかかわらず、本件道路を管理していた東京開発局南部埋立地管理事務所は、夜間の違法駐車数を訴外警備会社に調査させ、その数が五〇〇台を越えるというような異常な事態であることを把握し、その危険性について危倶しながらも、路上駐車の事態を解消するために、都有地を利用したシャーシープールの設置を計画し実施したほかは、水上署の取締りに委ねるほかないとして、現実に違法駐車されたトレーラー等の排除又は一般車両に対する道路中央部分に障害物が存在することについての告知については、何らの措置も取らなかったのであるから、このような状況のもとにおいては、本件事故発生時、同事務所の道路管理に瑕疵があったというほかはない。したがって、被告東京都は、国家賠償法二条に基づき、本件事故によって生じた損害を賠償すべき責任がある。

この点に関し、被告東京都は、本件トレーラーは、一定時間経過後には、運転者がその場所から移動させる意思を有しており、継続的に放置されていたものではないから、路上放置された障害物のように、道路を管理する者において、これを移動除去すべき義務が生じるものではなく、また、本件道路は、安全に通行できる部分があり、かつ、安全に通行できる部分を識別することは、通常の速度で走行するかぎりは極めて容易であったから、本件道路には、通常備えるべき安全性を欠く点は存在しなかったと主張する。しかしながら、前記のように、本件道路には、コンテナを積み込んだトレーラーが、駐車灯等の灯火をつけることなく、また特段の警告措置を取ることなく、数十台以上もの駐車列を作って並んだまま、夜間、少なくとも二時間以上放置されていたのであり、かつ、前認定の事実によれば、翌朝コンテナバースに向けて発進するまでは、駐車を継続していることは明らかである以上、その駐車時間に鑑みれば、本件トレーラーの運転者が将来これを移動させる意思を有していたか否かを問わず、右事態は本件道路の安全性を著しく欠如する状態であったと言わざるをえない。

(五) 以上によれば、本件事故は、被告大二産業、同新朝日トレーラー及び同東京都が、それぞれ各自の独立した不法行為によって惹起させたものであり、かつ右各行為はそれぞれ客観的に相関連し、共同して事故を惹起したものと認められるから、被告大二産業、同新朝日トレーラー及び同東京都は、共同不法行為者として原告らに対し、連帯して損害賠償責任を負う。

2  過失割合

(一) 被告らは、いずれも、亡美由紀に、制限速度を越えた高速で走行し、かつ、前方を注視しなかった過失があったとして八割ないし一〇割の過失相殺を主張しているところ、前記一の事実によれば、訴外後藤は、昭和六二年六月一二日午後九時ころ、七号バースへの入構手続の順番待ちのため、本件事故現場の、大井税関前通りの南部陸橋方面から北部陸橋方面に向かう車線の第四車線において、ヘッドを切り離して駐車された四、五十台のトレーラーの列の最後尾に、ヘッドを切り離した本件トレーラーを、駐車灯、尾灯の点灯など、何らの警告措置を採ることなく駐車させたというのであり、他方、亡美由紀は、同日午後一一時四五分ころ、その婚約者である亡敏之を助手席に乗せて、大井税関前通りの第四車線を、南部陸橋方面から北部陸橋方面に向けて走行していたところ、本件事故現場において、本件トレーラーの後部に追突したというのである。

ところで、山岸車が、本件事故当時、どの程度の速度で走行していたかについての鑑定書(乙一)によれば、山岸車の事故当時の速度は低めにみて、時速七五キロメートルから八〇キロメートルであるということである。右鑑定書のうち、両車両が衝突後移動した距離から山岸車の速度を推定した分については、右結果を導くについて用いた本件トレーラーの路面との摩擦係数に関し、本件トレーラーが、タイヤで路面と接していたにとどまらず、補助脚台座を降ろした状態で駐車されていたことを看過しているから、これをそのまま採用することはできない。車両の変型から山岸車の速度を時速78.5キロメートルと推定した分については、その手法において特段の問題はないが、実車を使った衝突実験では、時速五〇キロメートルで既に乗用車がフロントピラーまでトラックに潜り込んでいるのであり、これらの点に前示の事故後の山岸車の状況を総合すると、山岸車の事故当時の速度は、時速八〇キロメートルは出ていないにせよ、時速七〇キロメートル以上あったものと推定するのが相当である。

次に、亡美由紀が前方を注視していれば、どの地点で本件トレーラーを発見することができたかどうかについては、昭和六十二年六月一八日になされた実況見分調書(甲一の3)によれば、衝突地点から71.10メートル手前の地点まで近づけば、ライトを上向きにした状態で、本件トレーラーの反射板が反射していることと、本件トレーラーが第四車線に駐車されていることがはっきり見えるということであり、また、衝突地点から六四メートル手前の地点まで近づけば、ライトを下向きにした状態でも、本件トレーラーの反射板が反射していることと、本体トレーラーが第四車線に駐車されていることがはっきり見えるということである。しかしながら、右実況見分は、被実験者である訴外後藤が、予め本件トレーラーが当該衝突地点に駐車されていることを知っていることを前提として、その視認の可否を答える方法でなされているものであり、また、実験車両の速度が時速一〇キロ程度であること、すでにトレーラーの存在を知りながら接近していること、右実験を行った時間帯が午後八時から午後九時にかけてであることなどを前提とするものである。他方、亡美由紀は、中央部の車線である第四車線に何らの警告措置を採ることなく違法に駐車している車両があるものとは予想し得ないまま、山岸車を運行させたことも十分に考えられるのであって、もっと手前に近づくまで本件トレーラーを発見できなかった可能性もあり、亡美由紀とはその前提条件が異なり、右結果をそのまま本件事故に当てはめることはできない。

また、同様に山岸車の視認状況についての実験結果(甲二四)によれば、前照灯を下向きにした状態で、前方に駐車されたトラックに接近した場合、トラックの約二八〇メートル手前の地点でトラックの尾灯を赤い光点と認識でき、約一七〇メートル手前の地点で赤い光点の上に四角い物体らしきものが見え、七〇メートル手前の地点で車らしいとわかり、三五メートルまで接近して初めてトラックとわかるということであり、前照灯を上向きにした状態では、三〇〇メートル手前の地点で赤い光点とわかり、一五〇メートル手前の地点で赤い光点上に四角い物体が見え、一二〇メートル手前の地点で車らしいとわかり、約九〇メートル手前の地点でトラックと判るということであり、さらに右実験に車の速度を加味すると、前照灯を下向きにした場合には、車の速度が時速六〇キロメートル以上であれば、車らしいとわかってから制動を掛け始めても衝突を回避できず、前照灯を上向きにした場合には、車の速度が時速八〇キロメートル以上であれば、車らしいとわかってから制動を掛け始めても衝突を回避できないとのことである。しかしながら、右実験は、本件トレーラーの代りにアルミバン付きの二トントラックの後部に暗緑色の布シートを掛けたものを用いていること、実験場所は本件道路ではなく、したがってその明るさ、車線数、カーブの有無、程度等も本件事故現場とは異なることなど、本件事故とはその前提条件が著しく異なるのであって、右結果をそのまま本件事故に当てはめることはできない。

そこで、以上を踏まえた上、亡美由紀と訴外後藤との過失割合につき検討するに、本件事故現場に、山岸車のスリップ痕、プレーキ痕はなかったこと及び山岸車の前記破壊状況から、亡美由紀は本件トレーラーの直前に至るまでその存在に気づかなかったことが窺われ、本件道路が片側五車線であって、その第四及び第五車線にはトレーラーの駐車列が、第一車線にはまばらに駐車車両があったとしても、第二及び第三車線には特段の障害物もなかったのであるから、亡美由紀が第二ないし第三車線に進路変更するだけの時間的余裕をもって本件トレーラーを発見することができれば、本件事故を回避することができたということができ、本件事故現場において、右のような車線変更をすることは、最高速度である時速五〇キロメートルを守って走行しているかぎり、夜間前方にいる大型車が実際の距離よりも遠方に見えることがあることを考慮しても、可能であったと推認することができるから、亡美由紀には少なくとも前方不注視の過失があったといわざるをえない。また、前示のとおり、山岸車は、最高速度である時速五〇キロメートルを二〇キロメートル越えた、時速七〇キロメートル以上の速度で走行していたものと推定されるから、亡美由紀には速度違反の過失もあったものといわざるをえない。

他方で、訴外後藤は、車長12.69メートル、トレーラー部分は白色、その上に積載されているコンテナは赤茶色の本件トレーラーを、車幅灯、尾灯などを点灯することなく、片側五車線の本件道路のセンターラインから二車線目である第四車線に、翌朝まで放置する意図で駐車したのであり、右駐車の位置が極めて異常であるにもかかわらず、駐車灯などの警告措置も何ら採っていないことからすれば、その行為態様は悪質であり、過失の程度は極めて重いというべきである。以上の事実を総合考慮したうえ、亡美由紀と訴外後藤との過失割合を判断すると、亡美由紀につき三割、訴外後藤につき七割とするのが相当である。

(二) また、被告らは、亡敏之の過失割合も、亡美由紀と同様であると主張する。しかしながら、前記一のとおり、亡敏之は亡美由紀と婚約中であったとはいうものの、亡美由紀の過失を亡敏之のそれと同視することを相当とするような、身分上または生活関係上の一体性を認めうるような関係にあったということはできないから、亡美由紀の過失をもって、直ちに亡敏之の過失と同視することはできない。もっとも、本件事故の態様からすると、運転免許を取得して約八ヶ月の亡美由紀に対し、前方不注視を正すことなく同乗していたと思われること、亡敏之は亡美由紀と結婚する予定であったことを考慮すれば、亡敏之については、公平上、一割の過失相殺を認めるのが相当である。

3  損害額

(一) 原告康純及び同朋子

(1) 治療費 五三万三四八〇円

甲一四の1及び2によれば、亡美由紀は本件事故後、東邦大学医学部附属大森病院で治療を受け、その治療費として、右金額を要したことが認められる。

(2) 葬儀費用 一〇〇万円

弁論の全趣旨によれば、原告康純及び同朋子は、亡美由紀の葬儀のため、一〇〇万円を越える相当費用を支出したものと認められ、このうち一〇〇万円をもって本件事故と相当因果関係ある損害と認める。

(3) 逸失利益三一〇五万一三八八円

弁論の全趣旨によれば、亡美由紀は、本件事故当時、二〇歳の高卒の女子であり、本件事故に遭わなければ、本件事故時から六七歳に達するまでの四七年間、少なくとも、昭和六二年度賃金センサス第一巻第一表・産業計・企業規模計・女子・高卒・全年齢平均の年収額を得ることができたと推認されるので、その額を基礎とし、生活費控除率を三〇パーセントとし、ライプニッツ方式により中間利息を控除すると、右金額となる。

2,467,000×(1−0.3)×17.9810=31,051,388

(4) 慰謝料 一五〇〇万円

(5) 小計 四七五八万四八六八円

(6) 過失相殺後の金額

三三三〇万九四〇七円

(7) 損害の填補(自賠責保険金)

一八〇一万〇六四二円

(8) 填補後の金額

一五二九万八七六五円

原告康純及び同朋子は、それぞれ、右(8)の損害賠償請求権の二分の一、すなわち、七六四万九三八二円を相続により取得した。

(9) 弁護士費用 一五二万円

本件事案の内容、審理の経緯及び認容額等、本件訴訟に顕れた一切の事情を考慮すれば、本件訴訟追行に要した弁護士費用は、原告康純及び同朋子の各自につき、それぞれ七六万円を認めるのが相当である。

(10) 合計

① 原告康純 八四〇万九三八二円

② 原告朋子 八四〇万九三八二円

(二) 原告進一及び同ヨシ子

(1) 葬儀費用 一〇〇万円

弁論の全趣旨によれば、原告進一及び同ヨシ子は、亡敏之の葬儀のため、一〇〇万円を越える相当費用を支出したものと認められ、このうち一〇〇万円をもって本件事故と相当因果関係ある損害と認める。

(2) 逸失利益四七〇五万九八五八円

甲二三の1及び2によれば、亡敏之は、本件事故当時、二四歳の大卒の男子で、沖電気工業株式会社に勤務し、その昭和六一年度の給与は三一八万二〇五三円であったことが認められる。同人は、本件事故に遭わなければ、本件事故時から六七歳に達するまでの四三年間、少なくとも、昭和六二年賃金センサス第一巻第一表・産業計・企業規模計・男子労働者・大学卒・全年齢平均の年収額を得ることができたと推認されるので、その額を基礎とし、生活費控除率を五〇パーセントとし、ライプニッツ方式により中間利息を控除して、四三年間の逸失利益の本件事故当時の現価を求めると、右金額となる。

5,364,200×(1−0.5)×17.5459=47,059,858

(3) 慰謝料 一五〇〇万円

(4)小計 六三〇五万九八五八円

(5) 過失相殺後の金額

五六七五万三八七二円

(6) 損害の填補

四四四八万四四〇〇円

自賠責保険金

二五〇〇万二九〇〇円

任意保険金

一九四八万一五〇〇円

(7) 填補後の金額

一二二六万九四七二円

原告進一及び同ヨシ子は、それぞれ、右(7)の損害賠償請求権の二分の一、すなわち、六一三万四七三六円を相続により取得した。

(8) 弁護士費用 一二二万円

本件事案の内容、審理の経緯及び認容等、本件訴訟に顕れた一切の事情を考慮すれば、本件訴訟追行に要した弁護士費用は、原告進一及び同ヨシ子の各自につき、それぞれ六一万円を認めるのが相当である。

(9) 合計

① 原告進一 六七四万四七三六円

② 原告ヨシ子六七四万四七三六円

五  以上によれば、原告康純及び朋子の、被告大二産業、同新朝日トレーラー及び同東京都に対する請求は、それぞれ八四〇万九三八二円並びにこれらに対する本件事故の日である昭和六二年六月一二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があり、原告進一及び同ヨシ子の、被告大二産業、同新朝日トレーラー及び同東京都に対する請求は、それぞれ六七四万四七三六円並びにこれらに対する本件事故の日である昭和六二年六月一二日から支払い済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、原告らの被告一二社に対する請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文、九四条後段を、仮執行の宣言について同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官南敏文 裁判官竹内純一 裁判官波多江久美子)

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